Hofner 500/1 World History Keith Custom
ポール・マッカートニー仕様への道

ネック・ヘッド・リシェイプ(2015年12月〜)

ネックのシェイプについて
ネックのシェイプについては、近年のHofner 500/1全般に言える事ですが、0フレットの幅は42mm、ネックを握った感触も、とてもオリジナルを参考にしているとは思えない程、太いのです。
実際に私が初めて「Hofner 500/1」を弾いたのは、つくばで仕事をしていた頃。当時仕事仲間でバンドをやっていた際、Vo兼Gtの彼がビートルズファンで、「Hofner 500/1 20/40」を所有していたのです。私が初めて弾いたバイオリンベースは、Grecoでも無ければ、80年代のHofnerでも無く、この「20/40」だった訳です。このHofnerは私には使い勝手が物凄く良く、直ぐに虜になってしまいました(もちろん、それ以前からHofnerに対する強い憧れは物凄くあったのですが、何故なのか出会いが無かったのです・・・)。程なくして、私は64年製のHofnerを入手したのでした。

近年のHofnerが、何故「0フレット」が42mmなのか。何故にこんなにもネックが太いのか。全く意味が分かりません。。少なくとも考えられる事は、おそらくはOld Hofnerとの差別化、という事かと思います。

しかし弾きづらいものは弾きづらいのです。「20/40」や「64年製」が使い勝手が良く、慣れてしまった私にとって、WHの太いネックの弾きづらさは、それ自体が苦痛でしか無く、演奏にも集中出来ない程でした・・・。他のベースでもそうですが、ネックのグリップ感は大切です。プレイヤーが無理矢理その個体のグリップに慣れる必要性など全く無いのです。

そこで、以前からネックのリシェイプ等の大改造をお約束頂いていたKEITHさんにお願いする事にした訳です。当初はリシェイプとリフィニッシュだけと思っていたのですが、やはり私の中に欲が渦巻き始めたのです・・・笑。。

以下、その詳細を・・・。。

塗装の剥離
いよいよ待ちに待った作業が始まりました!
画像1と画像2では、マスキングを行い、塗装済みのボディトップへ悪影響を及ぼさない様にします(この状態のWHがKEITHさんのYouTubeサイトの「カスタマイズ・キャバーン」の動画の後ろに小さく映っています)。
画像3は、ボディバックとネックの塗装が剥がされています。
画像4では、遂に蘇った白いバインディングが姿を現します。
画像5が、問題の「ネックヒール部分」と、それを繋いでいる「バインディングセル」の画像です。この状態から更に加工が加えられていきます。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

指板の剥離
次の行程は、「指板の剥離」です。
画像1は、指板を剥がしやすい様に、固定をしています。
画像2で、指板を丁寧に剥がしていきます。フレットが既に抜かれている事が分かります。
画像3で指板の剥離を完了しています。トラスロッドが埋め込まれているこの部分は、「Hofner社のYouTube動画」等でご覧になった方々も多いと思いますが、トラスロッドを埋め込んだ後に接着剤の付いたローズ材の様な木材を当て込み、圧着している事がよく分かります。

画像1

画像2

画像3

指板の剥離、及び、指板の接着
画像1と画像2は、当方で準備しました「ハカランダ材」です。KEITHさんから「ポールの指板は柾目ではなく板目」とのアドバイスを頂きました。「板目」に近い方は「画像1」の方なのですが、「画像2」も木目としては綺麗との事。しかし「画像1」のハカランダ材は反りが大きく使えないとのご連絡を頂き、結果「画像2」のハカランダ材で作業を進めて頂きました。

順番が飛びますが・・・画像3では「指板の厚み」と「指板のR(ラジアス)」を、Old Hofnerの指板と全く同一に加工して頂きました。この為に治具も製作頂いたのでした。
画像4で、先程の指板を剥がした後のネックを研磨して頂き、
画像5で、加工及びフレット打ち済みの指板を、接着剤にてネックに圧着しています。
これらの画像を見て私は思いました・・・。。「大改造だ・・・」。。
本当にKEITHさんには頭の下がる思いがしたものです・・・。。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

ネックを足したり削ったり・・・
指板の接着が完了したら、ネックの削りに入ります。
今回、私がお願いしたネックリシェイプは、私が実寸した実物の63年製と、KEITHさんが実寸してくださった実物の63年製を元にリシェイプして頂きました。

画像1・画像2では、今回の話題になっておりました、ネックヒール部分の「接ぎ木」加工と、「セルの貼り直し」です。これらも実物の63年製から実寸して頂き、加工を終えたのでした。

画像3・画像4では、実物の63年製から型を取ったアクリル板で、ヘッドの形状を確認されています。私のWHは縦方向の長さが4mm程長いです。ここの部分は削って頂く事になりました。が、横方向は約1mm程足りない為、この部分はそのままの形状になりました。

画像5は、ヘッドを削った後の完成形です。ロゴの位置がとても良い感じになりました。
画像6では、ボリュートも物凄く良い感じに出来上がっています。ヘッドの角度もOld Hofnerと同じ角度に削って頂きました。

そして、画像7と画像8で完成形です。元々のWHですが(現行のリシューモデルも同じく)、ボディとネックヒール部に段差が有ったのですが、この部分もOld Hofnerと同様に段差が殆ど無い様に加工して頂き、Old Hofnerと同様にヒールキャップ部分を若干斜めに加工して頂いています。

全てが素晴らしい出来上がりになっています。もうこれは私にとっては感動モノなのでした。

そして、「リフィニッシュ作業」へと移る事になるのです。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8