Hofner 500/1 World History Keith Custom
ポール・マッカートニー仕様への道

今回の大改造の前に際して...(2014年12月)

今回の大改造の前に。。。
今回の大改造に際して、早速KEITHさんがやってくださったのが、WHと実物の63年製Old Hofnerとの違いが実際にはどの様に違うのか、という点です。本物のポール使用機を手に取って見る訳には行きませんが、実物のOld Hofnerをじっくり観察する事は可能なのですね・・・。そして、あらゆる点で細かい違いを見て頂きました。
近年のドイツ製Hofner 500/1ですが、「Hofner社製作YouTube動画」等でご覧になった方も多くいらっしゃると思いますが、思いの外、近代的で効率的に作業が進められており、ともすると、一見雑な様にも見えます(FenderやMartin、Gibson等はもっと雑に見えますが・・・)。一方の63年製は非常に丁寧な作りがされており、手の掛け方が全く異なる様にも感じます。
しかし、Old Hofnerは、その経年変化により、時期的な頃合いをみてその度に修復作業を余儀なくされるという、怖い点が多い事もまた事実でもあります。筆者が所有し紛失してしまった64年製Hofnerも、ネック周りのトラブルやフレットの浮き等、修理を行った記憶があります。
近年のHofnerとOld Hofnerの良い所取りの様な1本に仕上げる為、今回の大改造では、「1本のみの手作り」的な良さを、まさしく最大限に尽くしてくださったKEITHさん最高の素晴らしい出来映えになっています。

実物の63年製Hoferを見つめ直すと・・・
この非常に美しいフォルムをしているベースの画像が、実物の63年製Hofner 500/1です。さすがはクラシック弦楽器メーカー・・・まさしく、「芸術品」と言えます。今購入すると軽く150万円を上回るのも頷けます。これらの画像は、ちょうど良いタイミングでこの63年製の修理依頼をされた方がいらっしゃったとの事で、KEITHさんより画像を送って頂きました。(所有者の方、ご協力頂きまして、本当に有り難う御座います・・・)
もちろん、色の具合やネックのサイズ等も参考になりますが、KEITHさんが一番気にしてくださったのが、ネックヒール部分のバインディングセルの幅なのでした。この63年製もそうなのですが、他のOld Hofnerに関しても、セルの幅が現行Hofnerとは全く違う事が分かり、ここの部分もオリジナルに倣い、同じサイズで作り直すという作業を行って頂きました。

画像1

画像2

実物のOld Hofnerを見つめ直すと・・・
ちょうど同じタイミングで、61〜62年製キャバーン仕様のOld Hofnerも修理の為に持ち込まれたとのお話があり、同じく画像を送って頂きました。こちらもオールドの風格有る大変素晴らしく美しいOld Hofnerです。(所有者の方、ご協力頂きまして、本当に有り難う御座います・・・)
ヘッド裏とボディ裏も比較の為にKEITHさんに撮影して頂きました。この様に並べてみると、如何に異なる点が多く存在するかが実感出来ます。

「画像1」はヘッド裏の画像です(下がOld Hofner、上がWH)。ボリュートの形状が全く異なる事が分かって頂ける事と思います。Old Hofnerのボリュートには様々な形が有ると言われています。1本1本職人の手によって丁寧に形成される訳ですから、この様な違いも出てきます。「WHは、ボリュートの形状もオールドを参考にした」と言われていますが、実際にはナット幅も、ネックの握りも全く異なりますので、ボリュートもオールドと同じとは到底思えなかったのです。KEITHさんから提案頂いた通りに、この2ピースネックのOld Hofnerを参考に、ボリュートを削り直して頂く事にしました。

「画像2」(右がOld Hofner、左がWH)はボディバックです。ボディの形状にも関する事ですが、Old Hofnerの厄介な点は、年々仕様が変化していく事があります。このサイトをご覧の皆さんは、ほぼほぼHofner愛好家の方だと思いますのでご存じの事と思うのですが、「Hofner初心者」或いは「Hofnerって?」という方々向けに書きますと、60年、61年、62年、63年、64年、65年、66年〜と、年々Old Hofnerには何かしらの変更点があります。例えば「67年製」にもなると、もはや別物、といった趣きさえ感じてしまう程、ボディの幅までも変わってきたりするものなのです・・・。例えば、「Pre CBS Fender Precision Bass 60年製」と「Post CBS Fender Precision Bass 67年製」と比較しても、違いはボディのフィニッシュにくらいしか感じないものですが、Old Hofnerに関して言えば、それぞれが別物の様に存在している事もまた事実なのです・・・。64年製Hofner 500/1は、ちょっとした豪華版的500/1なデザインになったのだと思いますが、私が欲しいHofnerは、やはりポール・マッカートニー仕様のHofnerなのです。

「画像3」(右がOld Hofer、左がWH)を見ると、2007年に作られた筈のボディ・セルが茶褐色に変色している事が分かります。「白いバインディングセル」が売り物だったWorld Historyなのに、こんなにも変色してしまうものです・・・(いえ。個人的に着色してみただけです・・・笑)。

そして「画像4」(右がOld Hofner、左がWH)を見て今回の大改造に加えた点が、セルの幅です。ネックエンド部分のセルの幅が全く異なり、ヒール部分の長さやパーロイドセルの厚み(及び角度)、ネックエンドのヒールの形状も全く異なります。その為、今回の改造でKEITHさんに行って頂いたのは、それらの異なる点を全て改善する事でした。

画像1

画像2

画像3

画像4

今回の大改造で、KEITHさんに行って頂いた改造点・・・
(当方がお願いした件を、時系列で書くと・・・)
●ネックのリシェイプ、及び、ボディサイド・バック・ネックのリフィニッシュ。
●指板の貼り替え(指板のR調整、ドットマークの交換、及びフレットの交換を含む)。
●ヘッドを4mm程短く切って頂く(ポールのHofnerのロゴを参考にしました)。
●ナットを新しく作り直して頂く。
●ロゴを貼り替えて頂く。
●ネックエンドのヒール部分の加工。
●ヒール部分のバインディングセルを新たに作って頂く。
●ペグつまみを削って頂く。
●レリック加工(ウェザーチェックを人工的に入れて頂く作業)。同時に「ポールのHofnerのボディトップ」と同じ様に、「キズ」を入れて頂く。
●コントロールパネルの4隅に穴を空けて、プラスネジで固定して頂く。
●テールピースの加工。
●ストラップピンを、ロック式にして頂く。
●リアピックアップ側のエスカッションを交換。
●弦の交換。

以上です・・・(多分・・・^^;)。(書き漏れや順番の間違い等が有る場合は、その都度書き直していきます)
これだけの大改造なのですから、本当に大変なお仕事だったと思うのです・・・。それを完璧なまでに丁寧な手作業で作り直してくださったKEITHさんには、本当に頭の下がる思いがしました。私の大切な1本になったのです。ここから先のページでは、その素晴らしい作業の全てをご覧くださいませ!