HOFNER VIOLIN BASS



このページでは、ヘフナーベースについて
その魅力に迫ってみたいと思う・・・。
ヘフナーは私にとって、永遠で最高最大の憧れのベース・・・。
私自身の終着点だと思っている・・・。
単なるエレクトリック・ベースという領域を超えて、
まるで芸術品を思わせる様な作りをしている素晴らしい楽器・・・。
これらすべてが手作りなのだそうである・・・。
ここでは、この素晴らしくも輝かしいヘフナー社の500/1ベースの歴史について追求し、
私の思う所を述べたいと思う・・・。



ヘフナー社の歴史

ヘフナー社は、ドイツ人、“Karl Höfner =カール・ヘフナー(1867年生まれ)”によって、1887年にエイガーランド(オーストリア・ハンガリー帝国に属す、後の“チェコスロバキア”)の“ショーンバッハ”という街に設立され、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス等のオーケストラ楽器に加え、輸出用としてクラシックギターや、マンドリンを製造していた。



Karl Höfner
設立当時のヘフナー社

カールの息子、“ヨゼフ・ヘフナー(後の販売部長)”と“ウォルター・ヘフナー(後の製造部長)”は、1925年にアコースティック・ジャズ・ギターの製造を開始する。(二人は後に、500/1-エレクトリックバイオリン・ベースの開発責任者となる・・・)

その後、第二次大戦後、ドイツの分割によりチェコスロバキアを追い立てられたヘフナー社は、ドイツ・エルランゲン近郊のモウレンドルフに社を移す事になる。 父カール引退後、息子ら、ヨゼフとウォルターにより、正式にギター製造が開始される。

ヨゼフ引退後、ウォルターは、娘“ゲヒルダ”と共にヘフナー社の運営を続け、ウォルターが1982年に亡くなった後も、ゲヒルダの夫“クリスチャン・ベンカー”らで社を継続させた。ゲヒルダの娘“ブリジッド”とその夫“トーマス・リヒタルド”は、1995年までヘフナー社で経営を続けた。

ヘフナー社は、1994年夏、全てのオーケストラ楽器を供給する為、“ブーシー・アンド・ホウクス社”と合併、現在では、ヴァイオリン用具一式等、100%を自社生産出来る世界唯一の楽器生産会社となる。





500/1タイプ・バイオリンベース誕生

1955年、ウォルター・ヘフナーは、フェンダー社(FENDER)やギブソン社(GIBSON)が1950年代前後にエレクトリックギターの生産を始めた頃、ウォルターが以前から考案していたバイオリン型エレクトリック・ベースギターのアイデアが、他のコントラバス等の生産ラインに乗せる事が可能なのではないかと考え、ギブソン社よりも高品質のバイオリン型エレクトリックベースの生産が可能である事を確認し、市場に於いても需要があるのではないかと考えた。

翌年1956年、ヘフナー社は、500/1型バイオリンベースを完成させ、フランクフルト音楽祭に出展した。
1958年頃、“セルマー社(ロンドン)”がヘフナーギターの輸入を開始したが、その中には500/1型バイオリンベースは含まれていなかったという・・・。




500/1バイオリンベースの仕様

ホロウ・ボディ(空洞ボディの事)である事から非常に軽量であり、ショートスケール仕様でとても弾き易い。
《注:一般的なベースのスケール(ブリッジからナットまでの長さ)が、86.4cmであるのに対し、500/1は、76.8cmと短い・・・》
Back板とSide板にはメイプル材が使われ、初期モデルのTOP板には単板のスプルース材が使用され、後期のモデルには合板のスプルース材が用いられている。
この構造こそが、音の周波数全体に重厚な音色を持つ独特の温かみのあるサウンドをもたらせている。が、低音部はあまり明瞭ではなく、高音部ではピッチに不正確さが若干あるが、それを補って充分過ぎる程の深みのあるサウンドと弾き易さがそこにはある。これは他のソリッドベースでは出す事の出来ない、500/1バイオリンベースこそが持ちうるサウンドであり、一般的にベーシストが好むタイプの音色を持つ事につながっている。

初期モデルのBack部は1ピース、もしくは2ピースの平たい構造になっている。61年頃のモデルの大半は1ピース構造になっており、バイオリンの裏面(Back)の様に形作られている。
初期モデルのフィンガーボード(指板)はブラジル産のローズ材、又は、インド産のローズ材で作られており、フレット数は20までだが、60年以降のモデルは、22フレット仕様になっている。
初期のネックは、クラシックギターと同様にトラス・ロッドが無く、異様に太かったという・・・。その為、弾きにくさが有ったが、その後、トラス・ロッドが組み込まれる様になると、ネックはより細くなり、演奏もしやすくなった。

ボディ部、ネック部の光沢のあるフィニッシュは、ニトロセルロースの塗料を使用している。
工場出荷時の弦は、フラット・ワウンド。(60年代後期に入るまで、“ラウンド・ワウンド・ベース弦”は、ごく一部を除き何処のメーカーでも製造されていなかった)。




モデルの移り変わり

63年までのヘフナーベースは、製造年月をインクの捺印で記していた。捺印部分は、ボディ内(ブリッジの裏側辺り)に押されている。また輸入会社や卸売業者も、ヘフナーとは関係無いシリアルナンバーをベースに付けて売っていた。その刻印部分も様々であったが、セルマー社によって販売されたモデルに関しては、ヘッドの裏側に押されていたが、他のヨーロッパ・モデルの場合、ヘッドの先端、ベースのテイルピース付近に押される事もあった。
ちなみにセルマー社の62年までのシリアルナンバーは“1〜99”、62年後期から63年までは“100〜349”、64年の終わりまで“350〜2000”である。(その後、1万8千本以上のベースが製造されている)
アメリカでの輸入元は、“SORKIN MUSIC COMPANY INC”(60年代)。

一般的にノーバウンドネックタイプで、「2ピースネック」「2連ペグ」を“62,63モデル”と呼ぶ事が有るが、この語源は62年製の特徴を持った63年製、という意味らしい。63年の初期に作られた物は、このタイプが多いとされている。
がしかし、後に述べる様に、単にパーツの入荷、職人の手作業による仕様の違いだけであり、事実、#349に近いモデルでも、「2ピースネック」「2連ペグ」のモデルは存在する。

初期モデルのボリュームとトーンのコントロール部は、4個のポテンショメータを使った楕円形のパネルが使われた。57年初期まで、ペグとテイルピースに「KH」の刻印、ヘフナーのロゴはヘッドではなく、ボディに付けられていた。
ペグに関しては、当時の工場でのパーツの入荷によって異なり、4個独立したタイプもあれば、2列4個型のペグも使用された。

57年以前に製造されたモデルには、ダイヤ柄のインレイが施されていたが、57年以降は、縦型のヘフナーロゴが使用されている。

59年〜60年のモデルから、2個のボリューム・コントロールと、3個のスライドスイッチがコントロールパネルに配置されるようになる。2個のボリュームは、フロント用、リア用ピックアップに連動している。スライドスイッチはかなり奇妙で、“ソロ/リズム”、“ベース・オン”、“トレブル・オン”、の3個である・・・。が、一般的なギターやベースに取り付けられている、いわゆる“トーン・コントロール”というものは無い・・・。
その説明をすると・・・、




“SOLO/RHYTHM”・・・“SOLO”=音量をフル。“RHYTHM”=ハーフ・ミュートスイッチ。
“BASS ON”・・・ONにすると、フロントピックアップがオン状態(実際は、“リアピックアップ側”がオフになる)になり、トレブルはゼロ(いわゆる“ハイカット”)の状態になる。
“TREBLE ON”・・・ONにすると、リアピックアップがオン状態(実際は、“フロントピックアップ側”がオフになる)になり、トレブルはフルの状態になる。

が、“BASS ON”“TREBLE ON”を両方ともONにすると音が出なくなる・・・。これは、「ON側」にすると、もう片方のピックアップが「OFF状態」なる為である。
したがって、両方OFFにすると、フロント、リアの両方のピックアップがオンの状態になり、トレブルはフルの状態になるので、2個の(フロント用、リア用)ボリュームで音質の微調整を行う。

全くもって奇妙なコントローラーである・・・。


62年中期、ピックアップが改良される。4個のコイルネジ型と、小さい長方形型が一体化したピックアップ、“ステイプル・トップ・ピックアップ”である。これは黒のプラスチックフレーム(通称:エスカッション)に収められた。
このタイプの小さい4個のコイルネジを使用したピックアップでは、音を得る為の調整が出来なかったのだが、65年以降に製造されたピックアップはより大きくなり、ピックアップの高さ自体もビスの調整で自由に設定出来る様になる。

ちなみに、ボディに対するピックアップの位置だが、61年以前のモデルでは、フロントとリアのピックアップの位置が近かったのだが、62年以降に作られたモデルに関しては、55年〜56年に採用されたスタイル、すなわち、フロントピックアップとリアピックアップの距離が離されたデザインに変更された。

64年以降に作られた500/1モデルは、ネックにバインディングが施され、64年になると、それまでヘッドにプリントされていたロゴは、プラスチック製の浮き彫りロゴ(レイズド・ロゴ)に変更された。
長方形のコントロールパネルは、65年後期以降、幅広になる。



レイズド・ロゴ(画像)



67年以降のピックアップは、それまでのステイプル・トップ・ピックアップに代わり、“バー・ブレイド・ピックアップ”に変更されている。

  

その後、500/1B(ベース・ブースターモデル)、500/1M(サウンド・ミックスモデル)、さらに豪華版、5000/1(豪華金メッキの金属装飾モデル)などが作られていく。





500/1 リシューモデルについて

(撮影用なのかも知れないが)リシューモデルとポール。


オーケストラ用の楽器で経営を成功させていたヘフナー社ではあったが、94年に、“61年型500/1”を、翌95年には“63年型500/1”を忠実に再現、リシューした。

96年、“ミュージック・グラウンド社”は、ライセンス契約によりヘフナー社へ、元ビートルズのポール・マッカートニー所有モデルと同じ2ピースバックと2ピースネック、2列4個のペグを持つ、右用左用のリイシューモデルを限定400本の製造を依頼した。これは、ウォルター・ヘフナーのバイオリン型エレクトリック・ベース生誕四十周年記念を祝うものであり、400本(実際は400本以上と言われている)のヘフナーのピックガードとヘッドバックには、四十周年記念のロゴが描かれ、証明書と共に発売された。いわゆる「20/40」と呼ばれるモデルである。



オリジナルモデルとリシューモデルとの違いについて

まず、ナット幅だが、1990年代から発売されたリシューモデルでは、ナット幅が約42mmに設定されているが、当時のHofner 500/1のナット幅は必ずしも42mmでは無かった(当時のモデルの大半は40mmか、或いはそれ以下である)。ヨーロッパの弦楽器は工業製品的な色合いが薄く、きっちりとした規格サイズといった物は曖昧であり、職人の判断で製作されていた為である。(何故、現行のリシューモデルが42mmに設定されているのかは不明)

コントロールパネルのスイッチにも、オリジナルモデルとリシューモデルでは異なり、リシューモデルでは、スライドスイッチがかなり大きめであり、下地に見える部分が黒くなっている(オリジナルは白)。内部回路も大きく異なっている為、サウンド面ではかなり違いがある。

また、テイルピースのデザインも異なっており、61年〜63年モデルより若干長めである。リシューモデルのテイルピースは、中央に通された平らな棒状から上の部分がかなり長めに設計されている。2007年以降、この部分は改良された。

1990年代初期〜中期のリシューモデルのごく一部には、大きめのピックアップエスカッションが取り付けられている(1966年以降に作られたモデルは同様に大きめのエスカッションが設置されていた)。この最大の相違点は、ボディに開けられたピックアップのキャビティ部だ。大きめのピックアップが取り付けられたタイプのボディには、ピックアップサイズの穴が開けられている為、生音での箱鳴が得にくい。96年以降に作られたリシューモデルはオリジナルモデル同様、ピックアップ配線用の5mm程の穴が開けられており、独特の箱鳴りを再現出来ている。
2007年以降作られたリシューモデルのエスカッションは、とても硬いが割れやすいので注意する必要がある。

ネックの太さは、2002年以降の物は少し太めになり、2007年以降の物は極太になっている。
オリジナルのオールドモデルのネックは、決して太くはなく、とても細い物が多い。が、これも個体により様々である。
ネックの構造も、オリジナルとは異なる(指板の張り方等・・・)。
以下、指板の幅、ネック周り太さ(指板含む)を、当時のオリジナルモデルと主なリシューモデルで比較してみる。

リシューモデル
20/40 2007年製WH
フレット 指板幅 ネック周り 指板幅 ネック周り
0 F 42.0mm 112.0mm
3 F 43.5mm 116.5mm
5 F 44.5mm 120.0mm
7 F 45.5mm 123.0mm
9 F 46.5mm 124.5mm
12 F 47.0mm 126.5mm
17 F 49.0mm
22 F 50.0mm
オリジナルモデル
1961年製 1962年製 1963年製
フレット 指板幅 ネック周り 指板幅 ネック周り 指板幅 ネック周り
0 F 39.5mm 107.5mm 40.5mm 110.0mm 40.0mm 108.5mm
3 F 42.0mm 111.5mm 42.0mm 112.5mm 42.0mm 113.0mm
5 F 42.5mm 115.0mm 43.5mm 115.5mm 44.0mm 116.0mm
7 F 43.5mm 118.0mm 44.5mm 118.5mm 45.0mm 118.5mm
9 F 44.0mm 120.0mm 45.0mm 122.0mm 45.5mm 120.5mm
12 F 45.5mm 122.8mm 46.5mm 124.5mm 47.0mm 123.0mm
17 F 46.5mm 48.0mm 48.5mm
22 F 48.0mm 50.0mm 50.0mm
協力:CRANE GUITARS様


「Hofner」のロゴは、貼り方が多少真横気味に貼り付けられているが、WH、WHP等ではオリジナル同様に斜めに張り付けられている。
ボディのフィニッシュもオリジナルとはかなり異なり、色合いも年々変化している。2002年頃に作られた物は、色合いにかなりの違和感を感じる。




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