キングコング対ゴジラ
オリジナル復元版
未編集プレス盤

"キングコング対ゴジラ"、初のビデオリリースである。
当時はビデオテープとして、「VHS」「β」ソフトを同時リリース。発売日は1985年6月1日。
この約1年半程後の1986年11月21日、レーザーディスクとして登場するのが、この「未編集プレス盤」だ。恐らくこの類の内容に触れる事は大凡タブーとされている筈だが、回収後に新たにプレスされたLDを検証する上で、この「未編集プレス盤」に触れない訳にはいかない。この「未編集プレス盤」が、どの程度の間、店頭に出回っていたのかは定かでは無いが、数週間後には回収されていた筈である。当時はレーザーディスク・プレイヤーも、その後程の普及はしていなかった筈であり、差ほどの混乱は無かったと思う。

「レーザーディスク」は、「VHS」「β」とは異なるマスターを使用する事が常である。ランスルーのままで良いビデオテープとは異なり、「レーザーディスク」には"A面"と"B面"という概念がある。仮に担当者が"テープの冒頭のみ"を確認しただけでマスタリングすると、この様な"未編集"のテープが誤って店頭に並ぶ事も有り得るのである。

ちなみに私はこのジャケットが最も好みであり、なんともゴジラの手足の可愛さが堪らない・・・。加えてサイレント映画ファンで作品収集をしているせいか、この傷だらけのヴァージョンには非常に愛着を感じる。
「東宝スコープ」は特殊なレンズを使用し35mmフィルム全体に映像を左右圧縮にして焼き付け、上映時に左右を復元して映写する方法をとっていたと思われる。この手法だとフィルムの全面を使用する事になるので、高画質のシネマスコープ上映が可能だ。退色した16mmフィルムは、四隅が完全に色落ちしており、また、フィルムロールのエンドマーク(切り替え時に刻まれる「白パンチ」)がラグビーボール状の楕円形になっている事などから、本来は35mmフィルムをフルに使用し、上映時に復元していたと思われる。
以下に「正規リリース盤」との主な違いについて簡単に触れる。

1.冒頭の伊福部昭さんのオープニングテーマ曲、及び「東宝マーク」の映像は16mm版を使用。16mm版、ニュープリント35mm版、共に音声はモノラルヴァージョン。
画像の通り、「東宝マーク」の映像は16mm版をそのまま使用してある。"正規リリース盤"では、この部分は差し替えられた。
音声は"16mm版"と"ニュープリント35mm版"が混合している為、音楽が全く不一致な部分が多く、観ていると非常に面白く感じられるし、両方の編集の違い等、詳細に観察する事が出来る為、資料的な価値もあると思う。

2.「コング、東京へ」のシーンで、1カット存在しない。
キングコングが東京へ移動を開始する際の映像だが、下の通り、1カット足りない。
オリジナル復元版(未編集プレス盤)

オリジナル復元版(正規リリース盤)


この「オリジナル復元版」作成の際、"退色した16mm版"は35mmフィルムに変換され、"ニュープリント35mm版"と直接繋げられた後、テレシネ作業が行われたものと思われる。オープニング後の冒頭のシーンを2度繰り返す点が、このテープがあくまでもテスト用の為の物であった事を裏付ける何よりの証拠と言えるだろう。テスト編集作業を終えた後、「正規リリース盤」の為の編集作業が行われたと思われる。この際にサウンドトラックが新たに差し替えられた(正規リリース盤を参照)。

2種類のフィルムは、縦横比がそれぞれ異なる為、映像が切り替わるとサイズも変化する。