キングコング対ゴジラ
ニュープリント版
(東宝チャンピオンまつり版)
1992年8月1日に発売された"東宝チャンピオンまつり−ニュープリント版"を集めたLDボックス「ゴジラ激闘外伝」に収録。8枚組のこのボックスはいわゆる「私達世代の60年代ゴジラ集」とも言える豪華なボックスであり、所有するなら、このボックスは非常にお薦め。「時間が無いけどゴジラが観たい」という時に重宝する。

余談になるが、筆者は、1990年頃当時主流になっていた"フライングイレース機能"搭載のVHS機を使い、"オリジナル復元版"の画質の綺麗な部分を編集で繋ぎ合わせ、勝手な「短縮版」を作った事があるのだが、綺麗にまとまる部分と、どう観ても不可解な部分に分かれてしまう。そのまま意味不明なままだったのだが、このニュープリント版を観て愕然とした思い出がある。非常に巧みな編集技術だ。

私はLDの魅力を強く思う・・・。それは"アナログレコード"でも同様の事だ。VHSやCD、DVDにはあまり有り難さを感じない。それは例えば、アナログレコードやLDを個人で作るのは無理な話であり、専門の業者に依頼するより他無いからである。LDサイズのジャケットも素晴らしい事もあるが、DVDはあまりにも身近な物にしか思えず、あまり魅力を感じられないのである。
以下に"ニュープリント版"ついて述べる。

1.1970年公開ヴァージョン?
LDのエンディング部に「1970 TOHO,.Co LTD」の文字が入るが、必ずしもこのヴァージョンが1970年公開ヴァージョンとは限らない。もしかしたらここに収められた"ニュープリント版は、"1977年版なのかも分からない。
"DVD版モスラ対ゴジラ"のボーナストラックに、1980年版ニュープリントが収録されているが、1970年版ニュープリントとは編集が異なる。どちらかと言えば、この「キングコング対ゴジラ"ニュープリント版"」は、「モスゴジ・ニュープリ・1980」に近い印象を受ける。

2.オリジナルフィルムにハサミを入れた?
現代のライブラリという視点で考えれば、唯一のオリジナルネガにハサミを入れる、という事はとても考えられない。現在の様に家庭で映画を楽しむという時代が訪れるという事を、誰も予想しなかった筈だからである。当時の映画に対する風潮では、おそらく、こういう事は有り得たのだろうと思われるが、もう元に戻す事は不可能であり、誠に残念な事である・・・
現代風に考えれば、短縮版を作る際は、オリジナルフィルムを新たに別のフィルムに焼き、それをカット編集した後、サウンドのダビング処理を行い、それぞれのロールにカットし、完成させる筈だ。
「短縮版が作られ、オリジナル全長版は失われた」という説明は、「短縮版とは別に存在したオリジナル全長版を、いつの間にか紛失してしまった」、という解釈にしか思えなかったのだが、実際はそうでは無かった。
しかし、別の考え方をすれば、全巻7本のロールを一気に全て紛失する、という事もなかなか考えづらい。そもそものフィルムの保管状況がどうなっていたのだろう、等と想像してしまう・・・。

3.60年代の色調ではない。
これも「オリジナルフィルムにハサミを入れた?」に関連するが、この"ニュープリント版"、色調はどちらかと言えば70年代風な青みが強く、暗い印象を受ける。62年公開当時の色調を想像もする事は出来ないが、いずれにしてもこれは70年代的色調であり、60年代の色調では無いと思うのである。とは言え、画質は非常に綺麗であり、所有する価値は充分ある。が、サウンドは光学トラックから録られたものと思われ、音質はあまり良くない。

4.DVD化は不可能?
70年と77年に上映されたニュープリント版、本編冒頭と後半は非常に丁寧な編集を行い、サウンドトラックも新たに作り直されているが、本編中間部分は、オリジナルフィルムを切ったそのままである。このソフトのDVD化を望む声は非常に大きいが、東宝側にその意志は無い様に思える。「このままでは売り物にはならないと判断するのではないか」、と考えるのが普通なのかも知れない。

(2016年筆者記:2014年発売のBlu-rayに収録されました・・・)