キングコング対ゴジラ
完全復刻版
1991年11月1日リリース。
ジャケット表面に「完全復刻」のシールが貼られている事から、「完全復刻版」とネーミングされている。

実はこの盤・・・、元々の企画は「1986年オリジナル復元版」の「廉価版」を発売する予定だったが、「紛失していた筈のカットされた部分のオリジナルネガが突然見つかった事」と「伊福部さんのステレオ音源が見つかった事」により、場が急転・・・急遽、新たに作り直される事が決定し、発売日という名の締め切りに追われながらもスタッフの皆さんの懸命なる努力の結果、発売に至ったという経緯を持つ。
これが「完全復刻版」として私達の目の前に表れた事が非常に興味深い・・・。

ディスク内側の刻印、A面記録側は「A03-P」共通だが、B面記録側には「B01-P」と「B02-P」の2種類が存在するが内容に違いは無い。

ライナーノーツの未公開画像など、個人的にはこちらのライナーノーツの方が好み。
以下に"完全復刻版"の詳細を記す。


1."オリジナル復元版"とは全く異なる高画質である。
初めてこのLDを観た時の驚きと言ったら、もう何も言えない程の感動だった・・・。
(DVDの項目で後述するが)東宝はこのヴァージョンを完全なるマスターと位置付けしたい意向があったものと思われる。


2.冒頭、"世界驚異シリーズ"のシーンで、別の映像が挟まれている。
決して「サブリミナル効果」を狙ったものでは無いと思われるが、編集ミスからか"世界驚異シリーズ"のアニメーション部分に"海外取材班出発"のパーティのシーンが混入している。このディスクは「A03-P」だが、3回目のマスタリングでもこのミスは発見出来なかったのかも知れない。
(マニア向けのサービスだった、という考え方も出来る)
冒頭「世界驚異シリーズ」アニメーション部分


3.潜水艦シーホーク号シーンの日本語字幕の字体が多少異なる。
「オリジナル復元版」と「完全復刻版」と異なる部分がある。潜水艦シーホーク号内での日本語字幕の字体が変わっている事である。
個人的に以前から不思議に思っていた点だった。2種類の日本語字幕フィルムが存在したのかな?、とか...。
そこで、85年初ソフト化から2014年Blu-ray版まで修復に携われておられた"TORI様"に質問してみました。以下、お答えを記します。


「完全復刻版」作成の際、「日本語字幕の無いオリジナルネガ」が新たに発見されたが、「字ネガ(文字のみのネガ)」は見つからなかった。
(「字幕無しの映像のネガ」と「字ネガ」は別々に存在する。それらを別のフィルムに重ねて焼く事により、「字幕付きポジ(上映用フィルム)」が完成するという事)
この"完全復刻版"の為に、新たに字幕を付ける際に、「字体と改行を、オリジナル版と同じ様にして欲しい」、という依頼を行い、実現したシークエンスだった。


という、本当に素晴らしい仕事だったのでした。
(出典:TORI様)(ご協力、本当に有り難う御座います!)

「完全復刻版」を元に製作された「DVD」にもこの字体が使用された。
潜水艦シーホーク号内のシーン
左側の画像が、最初の「オリジナル復元版」
右側が今回の「完全復刻版」(画像はDVDより引用)


4.音楽の「フェイドアウト・フェイドイン」が無い。
高島忠夫さん扮する"桜井"のセリフ「俺達はこれから巨大なる魔神にインタビューじゃねぇか。ひっつくなよ!」の後、音楽が一度フェイドアウトした後、フェイドインするのだが、この"完全復刻版"のみ、音楽は消えずにそのまま流れている(DVD版オーディオコメンタリーも同様:詳細はDVD版にて)。
先に述べた通り、素材別それぞれのステレオシネテープ(セリフ・効果音・音楽)は発見されたものの、1962年当時の4chパーフェクトステレオ音源は発見出来なかった。したがって、素材別ステレオシネテープを新たにリミックスした音源が使用された為、この様なヴァージョンが存在する。
「音楽が消えずに」そのまま入っている点などは、今では実に貴重なヴァージョンである。


5.音楽音声に一部モノラル音声が含まれている。
このLDには、これらの新たな発見となったシネテープを存分に使用し、デジタル音声に"音楽のみ"、アナログ音声に"本編音声"という仕様で発売された。どちらも全てステレオ音声で、臨場感に満ちた音質になった事は実に素晴らしい事だった。
不思議な事に、A面40分23秒辺りから始まる「眠れる魔神」のシーンでの音楽のみ、モノラルで収録されている。ちなみにデジタル音声の「音楽のみ」のトラックはステレオで収録されている。高音質で空気感まで感じる"2ch音楽トラック"と比べて"モノラル音楽トラック"は低域が少なく、高音域もこもった音声になっていた。その違和感を減らす為か、「眠れる魔神」のモノラル音楽トラックにイコライジング処理を施し、低音域と高音域を上げて臨場感を出している。
このシネテープステレオ音源は経年変化の影響か、ワウフラッターが酷くなっているが、実に貴重なヴァージョンだと言える。


この"完全復刻版"では、フィルム切り貼りの際のスプライス跡が画面下部に映っている。次の画面の下部分が映っているわけだが、これを観察すると、"ニュープリント版"のフィルムが元になっている事がよく分かる。