キングコング対ゴジラ
DVD版
2001年4月21日発売。
遂に21世紀到来である。新たに製作された本DVDは「最終完全版」という位置付けが正しいのだろう。
しかし内容的には、幾つかの「?」が有り、今後これ以上のマスタリングが行われないとなると、「Blu-ray版」に満足出来る内容を期待出来るかどうか分からない、などと考えてしまう。本DVDは本編のみがスクィーズ収録されているが、予告編はスタンダードサイズだ。

とは言え、DVDの機能を十二分に生かしたボーナス内容は圧巻である。「オーディオコメンタリー」「インタビュー」「未公開映像」などなど、観たり聴いたりするだけで実に楽しいものである。2001年発売以来、御出演くださった関係者の方々が、今はもうお亡くなりになっている事実は、とても貴重であり、今となってはとても悲しすぎる。

このDVDには難聴者向けに日本語字幕が表示可能だが、「酋長」など使用禁止用語などは「族長」と表示されている。

本DVDは、2017年現在、6種類になるが、スタンパーはどれも同一であり、内容は全て同じである。ニーズに合った物を1種類所有していればそれで良いのだ。(出来れば全部入手して欲しい)
2016年6月15日に発売された「シン・ゴジラ公開記念版」は、ジャケットのデザインが一新されたトールケースタイプ。
以下に、"DVD盤"の特徴を記す。

1.DVD版の為の新しいテレシネは行われなかった。
91年発売“完全復刻版”をマスターとして使用している。本DVDは、新たにテレシネを行ったわけではなく、“完全復刻版”を元に、ノイズ処理等の作業を行ったと思われる。以下“完全復刻版”との共通点。
 ・"潜水艦シーホーク号"内でのセリフの日本語字幕が同一である点。
 ・"海外取材班出発のパーティー"シーンで、数コマの映像落ちがある点。
 ・コングが麻酔から覚め、船上で多胡部長と桜井がダイナマイト発火のレバーを奪い合いするシーンで一瞬コマが止まる点。
以下の部分は新たに修正された。
 ・「創立30周年記念映画」の部分は静止画を使用し、フェイドイン・アウトをしている。
 ・多胡部長:「ああ、そうだ!ファロラクトンだ!牧岡博士が持ち帰った赤い実だ!」
  桜井:「ああ!そうだ!」の後、3コマ程が無くなっている。
 ・「ロール6」と「ロール7」がクロスフェイド処理をされている。
1991年LDから10年後のDVD、2001年の10年後の2011年には「Blu-ray」か・・・。(2014年に「Blu-ray」が発売されました)


2.クロスフェイド
本DVDでは少し過剰な演出をした部分がある。多胡部長の「藤田航空に電話!ヘリコプターをチャーターしろ!」の後の堺左千夫さんのコマ飛びの部分。"完全復刻版"では黒画像が2コマほど有るが、本DVDではクロスフェイドの加工を行っている。
また、「キングコングを吊り上げるシーン」の前、フィルムロールのナンバー6(「キングコング輸送準備完了!」「よし!」)と7(「輸送開始!」)の繋ぎ目をクロスフェイド処理している。この部分はフィルムロールが異なるので、手を加えずこのままで良いと思うのだが・・・。DVD化にあたっての「傷は消してもピアノ線は消さず」の方針とは矛盾している様に思える・・・。


3.画像サイズ
"完全復刻版"で触れた"スプライス跡"だが、DVDではトリミング幅を多めにしてスプライス跡が画面に出ない様に工夫してある。その為、LDと比べて上下のサイズは、やや狭くなっている。


4.サウンドトラック
DVD機能を充分に生かしたサウンドトラックが収録されている。「4.0chパーフェクト・ステレオフォニック・サウンド」「2001年リミックスの5.1chサウンド」「4.0ch音楽トラック」「モノラル音楽トラック」、そして「オーディオコメンタリー」だ。
解説書には「現存している音源は、4.0ch立体音響のみ」と記されている。よって、この盤には映画本編を収めた「モノラル版」が収録されていない・・・。
なお、後年、全ての音声テープ(シネテープ)が確認されている事が発表された。

"完全復刻版"でも触れたが、サウンドトラックのワウフラッターは、91年時より余計に酷くなっている様に感じられる。サウンドトラックは既にデジタル化してあると思われるので、これ以上の劣化は無いと思うので安心だが、この辺りの事は非常に残念に思えてならない・・・。


5.特典:オーディオコメンタリー
不思議な事に、本DVDの“オーディオコメンタリー”のバックに流れる本編音声は"完全復刻版"の音源を使用している。コメンタリー収録時はまだDVD用音声トラックが完成していなかった可能性が高い。コメンタリーの方々が観ている映像も或いはVHS(完全復刻版)だったのかもしれない。


6.特典:予告編
今回のDVD化の為に予告編も収録されている。特に思った点が「特報」である。「91年完全復刻版LD」収録の際の「特報」は、映像の一部に欠け落ちた部分が存在した。今回のDVD化の際、映像が欠けている部分は、無理矢理に他の部分の映像の速度を変えて補っている・・・。出来る事なら「91年完全復刻版LD」収録の方がオリジナルに忠実で、印象も良いと思うのだが、商品という観点からすれば「いくら古いフィルムとはいえ、この様な不完全な物を提供するべきではない」と判断されての決断だったと思われる。


“オーディオコメンタリー”は出来る事なら、高島忠夫さん、藤木悠さんの名コンビ復活を願いたいところだった。当時高島さんは病中であり収録は不可能だったのだろう・・・。藤木悠さんは2005年にお亡くなりになられ、非常に惜しい、とても悲しい思いになる・・・。
海外版について。
他東宝特撮作品のアメリカ版では、日本版に存在しないシーンが付け加えられる事が多いが、「キングコング対ゴジラ」の米版にその様な箇所は見当たらない。トリミング加工、逆回転などの処理は有る(勿論、この場合は「地球防衛軍」等のライブラリ映像は除く)。物語の終盤、コングが気絶した後の落雷のシーン。日本版は強烈な光を発する程に映像が白くなるが、米版では「雷のライン」がはっきりと見える。どちらかと言えば、米版の落雷シーンは、日本版の"初号プリント"の様な印象を受ける。

非公式ながら、アメリカでは"キングコング対ゴジラ日本版"を用い、「英語字幕」を付けたブート盤が存在しているらしい。誤訳など色々難が有りそうな雰囲気だが・・・。いずれにしても海外の特撮マニアの方々が日本映画をオリジナルで受け止めようとしてくださる姿勢に、頭が下がる思いがするし、心から嬉しく思うし、感謝したい気持ちでいっぱいだ。